南海フェリーの「好きっぷ」でお得に徳島から大阪へ移動してみた
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和歌山県の和歌山港と徳島県の徳島港をフェリーで結んでいる 南海フェリーの「好きっぷ」で徳島から大阪まで移動してきました🚢 大阪と徳島の間では高速バスが多数発着しており、淡路島と鳴門海峡・明石海峡の 2 つの海峡を渡って片道 3 時間ほどで結んでいます。非常に便利な高速バスですが、今回はフェリーに乗船して 高速バスよりも安く大阪・徳島間を移動 しました。
今回利用するのは、南海フェリーが販売している「好きっぷ」という特別きっぷ。こちらの「好きっぷ」は 南海フェリーの片道乗船券と南海電鉄の片道乗車券がセットになったきっぷ で、このきっぷを購入するだけで徳島港から和歌山港、そして和歌山港駅から南海電鉄の任意の駅まで行くことができます。
そんな「好きっぷ」のお値段は 2,500 円で、これは通常のフェリーの運賃である 2,500 円と全く同じお値段。つまり フェリーの運賃だけで南海電鉄の列車にも乗れるというお得過ぎるきっぷ となっています。今回私は徳島から大阪のなんばまで移動したので、和歌山港駅からなんば駅までの運賃分、970 円引きでの移動となります。
やってきたのは南海フェリーの徳島港。市内中心部にある JR 徳島駅から南海フェリーの徳島港までは路線バスが走っている ので、アクセスも良好。バスでの移動時間は 20 分ほどで、運賃の支払いには 現金の他に PayPay や楽天ペイなどの QR コード決済が利用可能 となっていました。Suica や ICOCA などの交通系 IC カードは利用できないので要注意。
私が乗車したタイミングでは QR コード決済推進期間として、QR コード決済で 10 円引きとなるキャンペーンが実施。小銭を出す手間もなくてお得で助かります。
徳島港にある南海フェリー徳島営業所の建物へ入り、チケットカウンターにて「好きっぷ」を購入。窓口には数名のお客さんが並んでいて、見たところほぼ全員が「好きっぷ」を購入していました。こちらの 支払いは現金のみとなっている ので利用時には注意が必要です。
窓口にて下車する駅をお伝えして、きっぷを受け取ります。発券されたきっぷには「なんば好きっぷ」という商品名が記載。南海フェリーのウェブサイトを見た感じ、行先によって商品名が変わるっぽい。関西空港駅までなら「かんくう好きっぷ」、汐見橋駅までなら「しおみばし好きっぷ」、高野山の方まで行くなら「こうや好きっぷ」になるみたい。
反対に、なんばや関西空港など南海電鉄沿線から徳島へと向かう人向けに販売されているきっぷは「とくしま好きっぷ」という商品名となっています。こちらも販売額は片道 2,500 円。
今回私はチケットカウンターにて紙のきっぷを購入したのですが、徳島港をうろついているときに見つけた建物内に掲示されていたポスターによると、タッチ決済対応のクレジットカードがあれば 紙のきっぷを購入することなく利用できる「スマート好きっぷ」なるものがある そう。
こちらも「好きっぷ」と同じ 2,500 円で大阪と徳島を移動でき、このキャッシュレス時代にわざわざ現金を用意してきっぷを買う手間もなく、しかも利用するクレジットカードのポイント還元もあるので完全に上位互換的な存在。次からはスマートに移動したいぜ。
南海フェリー徳島営業所の建物内にはチケットカウンターの他に売店があり、おにぎりなどの軽食や徳島のお土産、フェリーに乗った先の和歌山のお土産が置いてありました。きっぷの購入とは異なり、売店では現金のほかクレジットカードや楽天 Edy などの各種電子マネーでの支払いに対応していました。現金がなくて「空腹なのに食料を調達出来ない…」なんてことにはならないので安心。
建物の外壁などにも描かれていましたが、売店には南海フェリーのキャラクターだという可愛らしい女の子のパネルが設置されていました。右側が「高野きらら」、左側が「阿波野まい」という名前だそう。
2 人とも和歌山生まれで、小学 3 年生のときに「阿波野まい」が徳島へ行った後もメールで親交を深めているとかなんとか。SNS じゃなくてメール、というところに時代を感じます。
チケットカウンターや売店のある 1 階から階段で 2 階へと上がった先にあるのが待合室。フェリーへと乗り込むための乗船口もこの 2 階にあり、その近くには多くの人が座ってフェリーの到着を待つことが出来るようたくさんの椅子が設置されていました。奥の方にはクレーンゲーム的なものも。
意外だったのは、思っていたよりも外国人観光客の姿が多いこと。大きなキャリーバッグを持った方が何人も見られました。徳島を見て回った後、次は和歌山観光…という感じなのでしょうか。
出港の 15 分前になり、フェリーへの乗船が開始されました。船体には「徳島↔和歌山」の文字が見えます。南海フェリーには 「フェリーあい」と「フェリーかつらぎ」の 2 隻の船 があり、今回乗船したのは「フェリーかつらぎ」という船。1998 年に竣工し 1999 年からこの瀬戸内海を航行しているそう。
もう一方の「フェリーあい」のほうは 2019 年に竣工した比較的新しい船で内装も綺麗らしいのですが、今回乗船したタイミングでは船舶検査のため休航中。2 隻のうちの 1 隻が休航ということで、時刻表に載っている便のうちの半分が乗船できなくなっていました。
実はこの日、大阪から徳島へ向かう際に南海フェリーを利用する予定だったのですが、乗船予定だった便が休航していることに直前で気付いて急遽高速バスに乗って徳島へ向かうことになりました。どんなものにも定期的なメンテナンスや検査は必要ですから、公共交通機関を利用する際にはちゃんと事前の確認が必要ですね…。
船の中は広く、リクライニング機能付きの座り心地の良いシートが並んだエリアがある他、ゆったり足を伸ばしたり寝転がったり出来るじゅうたん席、家族や友達同士など複数人で利用できるテーブル付きのファミリー席などが用意されていました。
これらは 全て自由席となっている ようで、乗船客は皆それぞれ好みの席に移動して思い思いにくつろいでいました。車でフェリーに乗っているお客さんもいるため、徒歩乗船の人しかいない待合室での人数を見た後では驚くほど船内に人が多く、ファミリー席は全て埋まり椅子席も半分以上が埋まっている状態。連休や年末年始、お盆の時期などは座れない人も出てきそうです。
フェリーの前の方には、別途料金を支払うことで利用することが出来るグリーン席も。乗船当日に船内で利用料金を支払う場合は 1,000 円、事前に WEB 予約をすれば 500 円でグリーン席を利用できるとのこと。WEB 予約のページを確認すると「グリーン料金のみプラン」というのが設定されているので、こちらを購入すれば「好きっぷ」を利用する場合でも 500 円でグリーン席を利用できそうです。
せっかくなので船内を探検。甲板からは夕方の徳島港の景色が見え、海沿いということで工場らしき建物や大きな倉庫っぽい施設が並んでいます。
階段を上がるとファインレッドとブライトオレンジの 2 色で構成された南海グループのロゴが。個人的に南海のロゴってなんかカッコよくて良いなあって思ってます。2 つの翼を組み合わせた形だそうで、ファインレッドは南の海に輝く太陽のような情熱、ブライトオレンジはおおらかで明るいヒューマンな心を表しているそう。かっけぇ~…。
南海ロゴの側にはたくさんの太陽光パネルが敷き詰められていて、発電規模は 10KW。海の上は遮るものがなくて太陽の光が燦々と降り注ぐので、太陽光発電にはもってこい。ここで発電された電気は、船内を明るく照らす照明器具で利用されているそうです。
時間になり、フェリーかつらぎは徳島港を出港。1 日中観光して回った徳島の街に別れを告げます。似合わないなあと思いつつ、こうして街を離れる瞬間というのはどこか物悲しい、センチメンタルな気分になります。
徳島港から和歌山港までは 2 時間と 10 分ほど。朝早くから大阪を出発して徳島観光をして、自分で思っていたよりも疲労が溜まっていたのか、椅子席に座っていたらいつの間にか眠ってしまっていました。周囲を見渡すと同じように目を閉じて過ごしている人が多かったです。
船内にはテレビが設置されていて、ニュース番組やらアニメやらが流れていたのですが、海上では地デジの放送が安定して受信できないのか頻繁に途切れたり映像が乱れたりしていました。なんかこう、録画した映像とか流しといたほうが良いんじゃないだろうか…。時期や時間によってはちゃんと見られるのでしょうか。
長いと思っていた船旅も、眠ってしまえばあっという間。気が付けば和歌山港に到着です。客室から甲板に出ると外はもう真っ暗。係員の方にフェリーのきっぷを渡して、2 時間ほどの時間を過ごした船を降ります。
船を降りた後は 長い通路を通ってそのまま南海電鉄の和歌山港駅 へ。案内に従ってひたすら真っすぐ歩いていくだけなので、特に迷うことなく駅の改札まで向かうことが出来ます。和歌山港駅は南海和歌山港線の駅で、この和歌山港駅とお隣の駅である和歌山市駅までを結ぶ短い路線。ここでフェリーから列車へバトンタッチ、南海電鉄の列車に乗って大阪・なんばを目指します。
駅のホームに停車していたのは「めでたいでんしゃ」と書かれた緑色をした列車。この 「めでたいでんしゃ」は和歌山市駅と加太駅の間を走っている列車 のようなのですが、どうやら和歌山港と和歌山市駅の間でも走っている模様。
この「めでたいでんしゃ」にはいくつかの種類があるそうで、黒色をした「かしら」、赤色の「なな」、ピンク色の可愛らしい見た目をした「さち」、青っぽい色をした「かい」、そして今回乗車する緑色の「かなた」。どうやらこの「かなた」が一番新しい車両のようで、デビューは昨年 2024 年の 7 月だそう。
車内はつり革が海の生き物の形をしているなど、遊び心に満ちていました。可愛らしい見た目の列車ということで、思わずといった感じで車内を撮影している乗客の姿も見られました。私もそのひとり。
和歌山港駅を出発した列車は、わずか 5 分ほどで和歌山市の西部にある和歌山市駅に到着。JR 徳島駅から路線バス、フェリー、めでたいでんしゃと乗り継いできて、次が最後の移動となります。
「なんば方面」と書かれたホームに停車していたのは「特急サザン」という特急列車。こちらの特急サザンは特急列車ではありますが 自由席車両に乗車する場合は特急券などは不要で乗車券のみで利用が可能 というちょっと変わった列車。指定席車両に乗車する場合には、追加で 520 円の座席指定券の購入が必要となります。
今回は自由席車両に乗車しましたが、この和歌山市駅が始発ということで座席にはかなり余裕がありました。ただ、座ることは出来ますが自由席車両はロングシートな車両なので、いい座席に座ってゆったり移動したい場合には指定席車両を利用するのもアリかも。
発車時刻になり、特急サザンは和歌山市駅を出発。和歌山大学前駅やみさき公園駅などに停車しつつ、関西空港へと伸びる南海空港線との分岐駅である泉佐野駅を経由して大阪府内を北上。堺駅あたりに着く頃には立ち客も出るほど車内は混雑していました。
地下鉄堺筋線との乗換駅である天下茶屋駅、JR 大阪環状線との乗換駅である新今宮駅を通って、列車は終点である南海なんば駅に到着。和歌山市駅を出発してからおよそ 1 時間ほどの乗車でした。
南海フェリーで徳島港を出てからおよそ 3 時間半、JR 徳島駅を出てからだと 4 時間半ほど。高速バスに比べるとかなり時間がかかりましたし、バスとフェリーと鉄道を乗換える必要もあって大変ではありましたが、バス旅とはまた違った楽しさがあって良い旅が出来たかなと感じました。値段も高速バスに比べたら安いですし。
また徳島を訪れることがあれば、ぜひ「好きっぷ」を利用して行きたいです。次は「フェリーあい」の方に乗ったりグリーン席に座ったり、サザンの指定席車両に乗ったりしたい…。