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ハイカラな港町の神戸にある日本庭園「相楽園」を歩く

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ひらたけ

港町神戸にある 神戸市の都市公園で唯一の日本庭園「相楽園」へ行ってきました🌳 神戸といえば真っ赤なシンボル的存在であるポートタワーがあって、海沿いにオシャレなお店がたくさんあって、煉瓦倉庫とか洋風な歴史ある建物が並んでいて…というイメージですが、そんな 神戸にある日本庭園 ということで気になっていました。

相楽園があるのは、神戸最大の繁華街・三宮もある中央区。地下鉄西神・山手線の三宮駅のお隣の駅である県庁前駅から歩いて 5 分ほどの場所。年末年始と、毎週木曜以外は開園しているようです。

相楽園の入り口の写真

駅から歩いていくと、なんだかお寺のような外観の門と外壁を備えた建物の姿が見えてきました。訪れた日は休日ではありましたが、県庁前駅周辺や相楽園までの道中も人の数はかなり少なめ。

正門をくぐり、入って右手側にある受付にて入園料を支払います。お値段は 300 円とかなりお手頃。キャッシュレス決済にも対応していて、交通系 IC カードなどでスムーズに入園が可能でした。

相楽園の写真

相楽園は、元神戸市長の小寺謙吉氏の先代である小寺泰次郎氏の本邸に営まれた庭園で、明治 18 年頃から築造に着手、明治末期に完成したもの。

その後の昭和 16 年以降は神戸市の所有となり、中国の古書『易経』の一節「和悦相楽(わしてよろこびあいたのしむ)」からとって「相楽園」と名付けられて一般に公開されるようになったとのこと。庭園が完成したときには相楽園という名前ではなかったということでしょうか。

相楽園の南国感ある木の写真

正門からゆるやかにカーブする坂道をのぼっていきます。左右には白っぽい砂利が敷き詰められ、丁寧に手入れされていると思われる丸っぽく刈られた木々が見えます。日本庭園っぽいこともないけれど、いかにも南国感溢れる木が圧を放っていたり、遠くには洋風な建物が覗いていたり。

相楽園の旧小寺家厩舎の写真

道中に設置された「順路」の案内に従って道なりに歩いていくと、見えてきたのは赤いレンガ造りの建物。こちらの「元小寺家厩舎」は先述の元神戸市長・小寺謙吉が設計を依頼して明治 43 年頃に建築された厩舎で、重要文化財に指定されている建物。

レンガ造りの 1 階に木造の小屋組を乗せた構造をしていて、ドイツ風の重厚な造りと説明がされていました。正面 1 階は馬車庫、2 階は厩務員の宿舎、東側は吹き抜けの高い天井を持つ馬房となっているとのこと。設計者の河合浩蔵氏は明治・大正期に関西で活躍した建築家だそう。

相楽園の旧ハッサム住宅の写真

その隣にあるのは「旧ハッサム住宅」という邸宅。インド系イギリス人貿易商の J.K. ハッサム氏が明治 35 年に自邸として建てたもので、元々は北野異人館街にあったものが昭和 38 年に相楽園へと移築されたそう。色合いといい、柱や扉のカーブしている感じといい、めちゃくちゃ洋風な感じの建物です。

中央廊下を挟んで両側に居室を廃止、前面にはベランダ、さらに渡り廊下で付属室と結ばれているというこの形式は「コロニアルスタイル」と呼ばれ、明治時代に神戸で活躍した外国人の方々の住宅の特徴だそう。こちらも重要文化財に指定されています。

相楽園の旧ハッサム住宅の写真

建物の側に設置されたガス燈は明治 7 年に神戸の外国人居留地に立てられたもので、製造地としてロンドンの銘がある国内では最も古い時期に属する貴重な街燈だそう。日本庭園を見に来たはずなのに…というのはありますが、神戸らしい貴重な建造物を見ることができました。

そんな旧ハッサム住宅の入り口近くには、ボロボロになったレンガ造りの柱のようなものの姿が。この神戸は平成 7 年の阪神・淡路大震災によって大きな被害を受けた場所で、この旧ハッサム住宅も大きな被害を受けていました。この柱のようなものは煙突で、屋根と 2 階の床を突き抜けて 1 階まで落下したものを建物の修理の際に取り出したのだそう。いかに激しい地震だったのかが伝わってきます。

相楽園の日本庭園の入り口の写真

明治時代の貴重な建造物を見ながら歩いていくと、いかにも「和」といった感じの入り口が見えてきます。ここからがお待ちかねの日本庭園っぽい場所のよう。中へと入り、左右に真っ赤な紅葉が植えられた道を抜けると、まさに日本庭園といった風景が広がっていました。

中央に大きな池のある池泉廻遊式日本庭園で、入ってすぐのところに設置されたししおどしがずっとカコンカコンと鳴っているのがいかにもって感じ。

相楽園の日本庭園の写真

池には石橋が架けられ、園内を流れる小川の飛び石を渡りながら木々や滝などを見て回ります。日本庭園内には 5~6 名ほどの外国人と思しきグループと子供連れの家族、あとは数名の観光客のみといった感じで混雑しておらず、ところどころで立ち止まって写真を撮ったり観察したりと周囲を気にせず見て回れるのは大きなメリット。

相楽園の日本庭園の写真

道中には石造りのトンネルのようなものがあって、その向こうには竹っぽい素材で出来た橋のようなもの。赤い紅葉が積もっていて、かなりいい雰囲気。周りに人も居なかったので、ちょっとしゃがんで低い位置から写真を撮ってみたり。

相楽園の日本庭園の写真

その石のトンネルの側には「船屋形」という建物があり、こちらは江戸時代に姫路藩主が河川での遊覧用に使っていたという川御座船の屋形部分。明治の時代に飾磨港付近から高砂に移された際に屋形だけが陸上げされ、茶室として利用するために下の部分を継ぎ足したものと言われているそう。

昭和 16 年に牛尾吉朗邸へ移築され、昭和 53 年には神戸市に寄贈されて現在の場所に移築されたとのこと。なんだか巡り巡って…という感じ。

相楽園の日本庭園の写真

池にいる全く動かない鯉を眺めてみたり、落ちたら嫌だから石橋の手前で引き返したり。思いの外満足度の高い日本庭園での時間を過ごした後は、相楽園の側にある「相楽園パーラー」というお店にお邪魔しました。

日によって入り口の場所が違うのか「本日の入口はこちらです」と書かれた案内に従って、細い通路を通って景色の良い店内へ。

相楽園パーラーの写真

神戸の街なかにも関わらず、店内にはお客さんはまばら。空席もかなりありましたが、せっかくなので一番景色が楽しめそうな屋外のテラス席へ。冬ということで、テラス席は私一人の貸切状態でした。

注文したのは「かぼちゃタルト」と温かい「カフェラテ」。オシャレな青い器と共に運ばれてきて、美しい景色と一緒に楽しむ時間は優雅な休日そのもの。相楽園を訪れる直前に思いっきりラーメンをすすっていたとは思えない。サービスのお水もほんのりレモンのような香りがする、いい店の水って感じ。

相楽園パーラーのかぼちゃタルトとカフェラテの写真

さすがに寒いかな…?と思っていましたが、お昼過ぎの時間帯だったこと、それなりに日差しがあったことなどが影響してか震えて過ごす…なんてことはありませんでした。コートは脱がなかったけど。同じ建物内で結婚式でもやっているのか、なんだか幸せそうな騒ぐ声が聞こえてくるのもなんだか良かったです。

相楽園への入園時のレシートを提示すると 100 円引きになるとのことで、ちょっと得した気分。わりといいお値段しましたが、景色も雰囲気も最高だったので納得感はあります。


神戸にある日本庭園ってどんななんだ、と気になって行ってきましたが、思いの外いい場所で驚きました。見て回るには広すぎず狭すぎずな庭園の広さもちょうど良かったし、周囲の人に気を使ったり避けたりしながら早足で見て回る…みたいな有名観光地にありがちなこともなかったし、何より景色が良い。

なんやかんやで私はこれまで日本庭園っぽい場所は何箇所か訪れていますが、その中でもトップクラスに満足度が高かったです。神戸を訪れることがあれば是非訪れてみてください。