竹中工務店が開設した博物館「竹中大工道具館」へ行ってきた
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大手総合建設会社のひとつ 竹中工務店が開設した博物館「竹中大工道具館」へ行ってきました👷 会社の名前は超有名だし当然聞いたことはありましたが、このような博物館があることは知らず。日本で唯一の大工道具の博物館ということで、建築や大工道具について何も知らないけれど気になったので行ってきました。
竹中大工道具館があるのは、神戸の新神戸駅のすぐ近く。山陽新幹線と神戸市営地下鉄が通る、山に囲まれた駅から歩いて 3 分ほどと非常にアクセスしやすい場所にあります。
1984 年に神戸市中山手に設立されたこの竹中大工道具館は、2014 年に新神戸駅近くの現在の場所に移転。この場所は竹中工務店の本社があった跡地なのだそう。40 年も歴史があることにも驚きですし、現在は大阪にある竹中工務店の本社が神戸にあったことにも驚きです。
歩いて竹中大工道具館までやってくると、まず高級な旅館のような雰囲気漂う門がお出迎え。その向こうには色鮮やかな葉をつけた木々に囲まれたゆるやかなスロープ。
「きちょうめん」「相づちを打つ」「クギを刺す」「うだつが上がらない」「ろくでなし」
・・・私たちが日頃よく使う言葉には昔から、大工や建築に関わる職人の間で用いられた言い回しに由来するものがたくさんあること、ご存知でしたか?
そんな書き出しから始まる文章が書かれた、入り口近くに掲示された案内。建築や大工道具に対しての知識がないのはもちろん、そこまでつよい興味関心があるわけではなかった私も、その言葉にどこか心惹かれつつ建物内へと足を踏み入れます。
ちょっぴり迷子になりつつ、門をくぐって正面に見えていた大きな建物へ。入ってすぐのところにある受付にて入館料 700 円をお支払い。手渡されたチケットは長方形をしておらず特殊な形をしていて、大工道具と思われる道具の絵が描かれています。
これは一体何の道具なんだと思いつつ、中庭を囲むようにつくられた階段を降りて展示のある地下 1 階へと向かいます。建物に入る前、外からは窓ガラスの向こうに椅子が並んだ広い部屋だけが見えていて「2 階があるようにも見えないし、展示できるスペースもあるように見えないから、これは休憩用の施設なのか…?」となったのが、ちょっぴり迷子になった原因。地下にあるんだね。
展示エリアには様々な展示があり、実際の大工道具がたくさん置いてあるのはもちろん、石斧を使っていた旧石器時代から現代までの大工道具の歩みを示した年表のようなもの、見上げるほどの大きさの実物大模型や法隆寺五重塔の模型などが地下の広い空間に並んでいました。
一体何に使うのか分からない、初めて見た道具もたくさん。その中で見つけたのが、チケットに描かれていたイラストとよく似た形をした道具。墨壺という道具だそうで、長い直線を正確に引くための道具らしい。
日本の建築というと、思い浮かべるのは木造の古いお寺や神社など。寺社建築の細部を飾る「蟇股」という優雅な曲線をもつ彫刻を、道具を用いて刻んでいる途中の様子が展示されていました。曲面の曲がり具合に応じて異なる刃幅の丸ノミを使い分けながら刻んでいくそう。
ひとつだけ作って終わり、というわけにもいかないでしょうし、これほど細かい作業をし続けることを考えると気が遠くなります。
見る展示だけでなく、実際に触って体験することのできる展示も。「荒削りの肌」と「仕上げ削りの肌」を比べてみることの出来る展示では、パッと見はどちらも綺麗に削られた木材ですが触れてみると明らかに違うことが分かり驚きでした。本当に全然違う。
日本の大工道具だけでなく、海外の大工道具も展示されていました。日本では墨壺にだけ木彫が施されているそうなのですが、ヨーロッパの大工道具では 18 世紀以前の斫斧と稀にカンナにも装飾が施されることがあるそう。
実際に木彫が施されたカンナなどの道具が展示されていて、国によって文化が異なるのだなということが感じられます。カンナに施される木彫は協会会派、年号、持ち主のイニシャルや装飾文様など様々だそう。
さらに階段を降りて地下 2 階へ。桜や欅、栗など、見たことがあったり名前を聞いたことがあったりする木に実際に触れてみることができる展示が用意されていたり、実際に中へと入ることの出来る茶室の模型の展示があったり。地下 2 階は木材についてや名工と呼ばれた作り手についてなどがメインのようでした。
建築にも木材にも名工と呼ばれる人たちにも詳しくない私が気になったのは、身近にある「畳」の構造模型の展示。畳はもちろん見たことはあるし、その上で過ごしたことだってあるけれど、その中身がどうなっているかはよく知りませんでした。
畳は床・表・縁で構成されていて、床には藁床というものを使用するのが伝統だそう。
地下 2 階には展示の他に木工室があり、こちらで実際に工作をするワークショップが行われているそう。訪れたタイミングでは中で工作をしている方が 10 名ほど居て、思いの外賑わっているようでした。費用もそこまで高いものでもなさそう。
建築や大工道具について何も知らないのに入って大丈夫かな、とちょっぴり不安もありましたが、思っていたよりも楽しめたし色々勉強にもなりました。建物の外の庭のような場所も素敵で、非常に良かったです。