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歩いているときに他人とぶつかってしまった日

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ひらたけ

知らない人とぶつかってしまった。仕事帰りに繁華街を歩いていたときのことで、その罪悪感と後悔から夕食を食べようという気持ちにもなれず、こうして文章を書いている。わざとぶつかったわけでは決してないのだけれど、もっと正しい対応の仕方があったはずなのに、行動出来なかった自分が許せない気持ちになってならない。


仕事が終わり、少し散歩をしてから帰ろうかと大通りの歩道を歩いていた私。正面には交差点があり、目の前の歩行者用信号は赤。横断歩道は渡らずにそのまま角を曲がろうと、体の向きを変えたところで、斜め後ろを歩いていた他の人の存在に気付いた。

もちろん繁華街だし、後ろを人が歩いているなんてことは当たり前のこと。ただ、思いのほか自分との距離が近く、そしてその斜め後ろを歩いていた人と、私の斜め前に居た赤信号が青に変わるのを待つ別の人との距離があまりにも狭く、曲がろうとした私は進路を塞がれたような形になってしまった。

夜の空の写真

すぐ目の前の道が通れなくなるだなんて思っていなかった私は、突然のことで頭が真っ白に。咄嗟のことで 2 人の間の狭い隙間を転びそうになりながらもなんとか抜けたところで、一拍遅れて「びっくりした…」が頭の中を満たした。

そして交差点からしばらく歩いて、心が少し落ち着いてきたところで 思いっきり他人とぶつかってしまったことをようやく理解した のだ。

何を言っても言い訳にしかならないのだけれど、私は咄嗟の判断だとか、瞬時の判断だとかに滅法弱い。何か急な出来事があれば、思考が止まって何も考えられなくなってしまう。今回の他人とぶつかった時もそうだった。

本来なら人とぶつかってしまった時点で、悪気があろうがなかろうが 「すみません!」と謝罪の一言を相手に伝えるべき だろう。けれども「人とぶつかってしまったこと」を理解した頃には現場から離れてしまっており、ぶつかっておきながら謝罪もせずに立ち去ってしまったことへの罪悪感と「暴力を振るわれた」などと言われてしまうのではないかという恐怖とで再び頭がいっぱいになり、現場に戻ることも振り返ることも出来なかった。

今にして思えば、ぶつかったことに思い至った時点で相手が居るかどうかは分からなくても引き返してみるべきだったし、そもそもぶつかった時点で冷静になってちゃんと相手のことを考えるべきだった。特に斜め前に居た人は、突然後ろからぶつかられたのだからきっとかなり恐怖を感じたのではなかろうか。


ぶつかった相手の顔は見ていないし、どこの誰とも分からない。何故、どうして、と自分の行動がいくら許せなくても今更過去を変えることも相手に許しを請うことも叶わない。

次にまた同じようなことが起きた時、私は頭が真っ白にならずに、冷静に次の行動を考えられるだろうか。あの時一体どうすれば少しでも今よりマシな結末を迎えられたのだろうか。そんなことばかりが、私の頭の中を埋め尽くしている。